« 2012年07月 | メイン | 2012年09月 »
この日から、さかのぼる事、3日前に召集令状が送られてきた。
河口湖の方で零戦が復元されていて、しかも8月しか公開されていないから、
アベケン、グレッグ、アデとよっちむ(僕)の4人で急遽見に行く事にした。
ちなみに、この4人は小中高の同級生で、主に中学から何かと一緒に行動していた。
時にはバンドを組み、クラスの出し物をしたり、喧嘩したり、あごを出してアイーンをしたり。
零戦2機に加え、
そこには一式陸攻の姿もあった。
途中でそばを食った。
今回の本当の任務は、甲府近辺にある防空壕の探索だった。
零戦と一式陸攻はこれから待ち受ける防空壕探査への序章であった。
そもそも、僕たちと防空壕との間には強い絆があるんだと思う。
しかしながら、アデ2等兵は前日の暴飲がたたってマラリア(ただの胃腸炎)にかかってしまった。。
まるでレイテ島の木の下でマラリアに苦しむ日本兵のようだ。
回復を待つためにしばし道ばたで休憩をした。
いよいよ、装甲車をとめて、歩行による行軍が始まった。
8月下旬の猛暑が我々を襲う。
情報提供してくれた現地のおばあちゃんだ。
アデ2等兵の顔色は更に青ざめている。。
しかし、誰も「帰ろう」とは言わずにひたすら、未開の防空壕を目指していた。
まるで、ライフワークのようだ。いや、それ以上かも。
田んぼを超えて、山に入り、笹が生い茂る森へと足を進める。
クモの巣にからまった虫が、腕や足に絡み付いた。
落ち葉で形成された斜面は非常に滑りやすい。
アデ2等兵は立派な最後を遂げ、ここで軍神とかし装甲車に移送された。
グレッグ将隊長が最初の防空壕を発見!
中を探索!
しかしながら、中は浅く、貯蔵所のように見受けられた。
進路を反対にとって歩くとそこには石碑があった。
この防空壕は、実はの防空壕ではなく、立川飛行機、大成建設などが現地の人や、
様々な人員を動員して掘った、地下の飛行機工場のあとであった。
旧日本陸軍はこの10本近い穴蔵を掘り、地下工場を建設し、
隼を量産し、この山の上にある、武田家最後の居城である新府城跡から飛ばすという
前代未聞の計画が実行されていたらしい。
計画は実行に移される前に終戦をむかえたため、実践での利用はされなかったものの、
山梨県最大の戦争遺跡として保存されている。
その後、別の穴からグレッグ将隊長とアベケン2等兵が防空壕への潜入に成功した。
聞く話によると、真っ暗な壁面一面を覆っていたのは大中小様々なカマドウマ(便所こうろぎ)だった。
その強烈にグロテスクな容姿と飛び抜けた行動力にさすがの2人も士気をえぐりとられたらしい。
それでも、この2人の兵士は勇敢に30mもの潜入に成功した。
天井が低くて、かがまないと入れない穴のなか、
しかし、その天井には無数のカマドウマがいた。
奥にはコウモリの巣があり、潜入者に対して威嚇の悲鳴をあげていたみたいだ。
結局のところ30m突き進んだところで、地下水が溜まっていたため、それ以上の進軍ができず、
日没も重なり、やむなく脱出してきた。
帰りに談合坂で夕飯を食べた。
終止、この4人の脳裏にあったのは、初めて防空壕探索を行った
高校1年の子供の国の一件だった。
写真は高校1年の子供の国、防空壕探索の時のだ。
(左奥:さりょう、右奥:みとちゃん。左手前:アデ、右手前:僕、よっちむ)
この日、学年で行く夏のキャンプの炊事の予行練習を子供の国で行った。
しかし、僕らの目的は炊事ではなく、防空壕の探索であった。
(左から、Dて、YKお、グレッグ、アデ、KNどう、僕、しゅうちょう)
まさか、高校1年から20年弱を経て、もう1度同じメンバーで防空壕を探索するとは
当時は誰も思っていなかった。
実働部隊だ。
(左から、アデ、みとちゃん、グレッグ、僕)
子供の国の防空壕からは当時の進駐軍が持ち込んだであろう
ドクターペッパーの缶など、得る物は多かった。
このとき「20年後もみんなで防空壕行きたいな」などという
臭いセリフは誰もはかなかったが、今回、甲府へ防空壕探索に行けた事は
何より楽しかった。
このような、防空壕は子供が遊ぶと危険なため、だいたいは入口が封鎖されます。
その次に壕自体が埋められてしまいます。
ほんの60年ちょっと前に起きた出来事が地中に埋められる前に僕らはそこにたち、
少しでもそれを掘った人の気持や、そこに避難した人の不安を感じてみたい。
領土問題でもめているけど、僕らは戦争を知らないアマチュアにすぎない。
アトミックボムをも経験した日本人だからこそ、語り続けなくてはいけない、
「人の気持」と言う物があると思う。
ヤンキーがコンビニの前でたむろするかのように、
本当の恐ろしさや悲しみを知らない我々が小さな島を占拠して領土問題を果たして語れるのだろうか。
僕はこれからも、機会を見て防空壕を探索していきたいと思った。